コンパッションの時代

コマラ・ローデのコンパッション・育成トレーニングがもうすぐ始まります。

スタンフォード大学の慈愛と利他主義(愛他心)の研究と教育センター(CCARE)で開発された8週間のトレーニングです。

こうした利他主義、慈悲と慈愛に関する研究機関やトレーニングが行われる下地として、マインドフルネスが医療に始まりビジネスや教育に広く普及してきたことがあると思われます。

マサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン博士が1979年に「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)を開発し、治療に用いられるようになり、マインドフルネス瞑想の脳への作用が明らかになってきて、マインドフルネス認知療法(MBCT)も鬱の治療や再発防止に広く用いられるようになっていきます。

サラ・レイザー博士による瞑想と脳の関連性の調査報告では、MBSB実践後の脳では、左の海馬(学習や記憶、感情のコントロールに関する部位)が大きくなったり、耳の上の側頭頭頂接合部(思いやりや慈悲に関する重要な機能を扱う部位)が大きくなったり、偏桃体の灰白質(闘争や迷走反応に関する部位)が減少したり、ということが確認されています。

こうした脳科学の研究により、マインドフルネス瞑想によって共感能力、思いやり、慈悲と慈愛を育てようとするプログラムが生まれてきました。

今回のコマラのリードするコンパッション育成トレーニング(CCT)は、海外ではリーダーシップ養成に欠かせないものとしても注目されています。

各分野で、これからの時代を担うリーダーに必要な質として、コンパッションが大切にされているのです。

今は大変な時代です。

あらゆることが不透明で不確かで見通しが立たない時代、価値観の大きなシフトを迫られているときで、冗談ではなく、人類がこの先、どうなるのかを大きく左右する時です。

そのようなときに、慈愛・慈悲が何はともあれ重要なのだというのです。

ほんとうにそうなのだと思います。

私自身がユニティインスティチュートでサトルボディ・ヒーリングやELCのトレーニングを受講していた10年以上前と今では、ほんとうにたくさんの変化があります。

その頃は、今のような世界を想像できていなかったように思います。

2011年の大きな災害後に、私たちはワンシードというNPO法人を設立しました。

自然との調和の中で、自らの自然を生きることをサポートし合える環境を作りたかったのです。

そして2017年にマインドフル・エデュケーション・プロジェクトを立ち上げました。

教育分野でのマインドフルネスの導入は、海外の教育先進国では10年ほど前から始まっています。

データやレポートも多く、とても参考になります。

そうした海外での実践例や資料を調べ、日本で実践しやすい形にしてきました。

海外の教育シーンで用いられている数々のエクササイズと同様に、年齢に応じて、コツコツと育てられるように、たくさんのエクササイズを用意してきました。

そして、そのベースに据えているのは、ユニティインスティチュートで学んだ、ハートの直感的知性と本質の目覚めです。

私たちのプログラムは、HANA(Heartful Awareness & Nature Awakening)と名付けました。

海外に比べて、日本の教育分野へのマインドフルネスの普及は随分遅れています。

マインドフルネスのもともとの、仏教などの東洋的心の在り方には馴染み深いはずなのに、なぜだろう?と考えました。

おそらく、今様々な分野へ広がっているマインドフルネスは、〈東洋的な心の在り方×心理学×脳科学〉という骨格を持っており、心理学、心理療法が根付いて発達してきたものでないからだと思っています。

さて、近年「ハートフルネス」ということが、教育のマインドフルネスでとても大切にされてきています。

ハートフルネスとマインドフルネスは、そもそもの始まりから、「分かつことができないほど関係の深いもの」であると、ジョンカバット・ジン博士は言います。

瞑想を深めれば愛の香りがそこにあり、深い愛は瞑想に通じるように、瞑想と愛を分かつことができないのと同じです。

「スタンフォードのマインドフルネス教室」の著者のスティーヴン・マーフィー重松教授による「ハートフルネス」が、最近出版されました。

スティーヴン教授はスタンフォード大学にハートフルネス・ラボを創設されています。

ウィスコンシン大学の「健全な心を育てるための研究所THE CENTER FOR HEALTHY MINDS」では、マインドフルネスの実践が4-6才の子どもの幸福に与える影響を調査する研究プロジェクトのために作成された「カインドネス(優しさ)・カリキュラム」 があります。

今、世界では、いろいろなことが起きています。

渦巻く情報が、マインドをフルにかき混ぜています。

大きな時代の転換期にあるこのときに、コンパッション育成のトレーニングを受けること、ハートを育てることは、ほんとうに、ほんとうに大切なことだと思います。

ZOOMでのハート瞑想をします。日時については、こちらをご覧ください。

教育のマインドフルネスに興味のある方はこちらをご覧ください。

尾崎智子(ブーティー)