私たちが向かっている場所 

5月の連休が明けて、全国の緊急事態宣言は続いて、たとえそれが解除になったとしても、私たちは、新しい日常を迎えることになるということが、はっきりしてきました。

これまでと異なる日常は、どのようなものになるのか?
もちろん振舞い方は変わるけど、心の在り方はどう変わるのだろう?

私たちの意識は?
…そんなことを考えます。

少し前の新聞に、パンデミックと社会の変化について問う、2015年度の東大入試問題が載っていました。

ペストはどんな変化をもたらしたのか―。

ヨーロッパの人口の3分の1が死んでいくような状況の中で、それまでの教会主義は崩壊し、敬虔なキリスト教徒だった人々が「どうせ明日死ぬなら、今日したいことをして死のう」ということになり、それがルネッサンスの始まりとなります。

経済面では、農民が減ったため、領主は労働意欲を上げようと、農民に土地を貸し出すようになり、農民たちは自分の考えで植えたいものを植え、その成果も失敗も自分のものとした、これが自由経済の始まりだということです。

特にペストが深刻だったイギリスで資本主義が発展し、強国となって、英語と資本主義が世界に広がったとあり、こうしたポイントが押さえられていれば正解だということでした。

今のこの時が、ずっと後になって振り返る歴史の転換期であることは間違いないでしょう。
願わくば、それが、より聡明な社会を創造してゆけるようなシフトでありますように。

それが自然との、存在との繋がりという確固たる土台に立ったものでありますように。

普段、教育へのマインドフルネス、ハートフルネスの普及活動をしていますが、講座資料にも度々引用する脳科学者のダニエル・J・シーゲルと、感情的要素が理性的判断に効率的に働き、その鍵は身体的感覚であるという「ソマティック・マーカー仮説」の提唱者アントニオ・ダマシオとの対談を見つけました。

シーゲルは、アメリカのエリート層の若者の自殺率の高さ、その理由の中にある分離感や孤立感に触れていました。

彼は、自分自身と繋がり、自分を慈しむことができないと、自己を超えた、より大きなものとのつながりを感じることは不可能で、それゆえに自然を大切にすることができない、それは今日の気候変動にも関係がある、と語っていて、(彼は脳の統合という観点から、人の成長に瞑想が大切だというのですが)本当にそうだなぁと思いました。

地球が悲鳴を上げているような現代での、このパンデミックがもたらすシフト、私たちが瞑想によって、もっと意識的になることが唯一の希望だと思います。

折しも、今、本当に多くの人が、オンラインで瞑想をシェアしてくれています。

毎朝、毎夕、そして様々なイベントとして―。

私たちも何度か無料オンラインイベントを開催しましたが、普段出会えない人と一緒に瞑想する機会に恵まれ、このような時期にはとても嬉しいことでした。

他の方々のオンラインイベントの恩恵も受けながら、この5月もまた、過ごしたいと思います。

緑が輝く季節、緑の中で新鮮な空気を思い切り吸い込むとき、私たちと植物は分かたれていないことを確認しながら、私たちがどこに向かっているのか、どのような舵取りをしているのかを、改めて見つめてみたいと思います。

尾崎智子
https://essentiallifeconsulting.jimdofree.com/
https://www.oneseed-npo.com/