今年の春から広島市の中心部で、子供英語と
マインドフルネスを組み合わせた教室を始め
ました。
ハートの大切さを教育のフィールドに導入したい
という願いから、このスクールの名前を
「HIE‐Heart in Education」としました。
同じくユニティインスティチュートでサトル
ボディヒーリング(SBH)を学び、そして今、
エッセンシャルライフコンサルティング(ELC)
を学んでいる優佳さんと一緒にこのHIEを始めた
経緯はちょっと面白いです。
彼女は、当時私が担当していたアロマスクールの
カリキュラムを受講し、卒業後にアロマの会社を
立ち上げていて、そしてまたユニティインスティ
チュートのコースを受講し、ハートからの気づき
をどんどん深めていました。
ふたりで広島県が主催した
「デザイン×システム思考ワークショップ」に
参加したことから、このHIEは誕生したのでした。
2日間のワークショップでは、慶応義塾大学で
システムデザインを指導している石橋先生が講師
を務め、参加企業に具体的なアドバイスをしなが
ら、それぞれの問題解決のためのイノベーティブ
な発想を促してくれました。
おそらくは多様性を重視してエントリーの中から
選ばれたのは4社で、
マツダ系列会社やパンの老舗のアンデルセンなど、
広島で名だたる企業の3社と私たちという、
なんともいえない組み合わせです。
おまけに各社ともワークショップで取り組みたい
課題を提示するのですが、私たちの課題は
「いかに瞑想を広く一般に届けられるか」
というものだったのですから!
後で聞くと、主催側も私たちの課題が実際どうな
るのか、心配していたそうです。
少し話が逸れますが、アンデルセンは、戦後間も
ない時期に広島で開業したパン屋さんで、
デニッシュを最初に日本に紹介したことでも知ら
れています。
(本家デンマークのコペンハーゲンの駅前には
アンデルセンの支店があって、チボリ公園の
中にもお店があり、地元デンマークの人たち
にもアンデルセンのデニッシュは大人気です)
広島のアンデルセンの店が入っていたのは被爆
建物で、老朽化のため2016年にそこでの営業
を停止し仮店舗に移っています。
改築が終わるのは2020年以降になるそうで、
当分は仮店舗での営業となります。
そこで出た悩みとは、パンを焼くための大型オー
ブンがキッチンに入らずに、
少し離れたところで焼いてから搬送して持って
こなければならなくなったこと。
今回のワークショップの課題は、パンの職人さん
たちを始めとするスタッフのみなさんが、
これまでずっとこだわってきた「焼きたて」を
提供できないもどかしさ、それを超えて美味しさ
を届けることがどうすればできるのか?
というものでした。
このワークショップでは、地元の企業の方々の
熱い想いに触れることもできて、
ああ、こんな風に情熱を持って仕事をしているの
だなぁ!
と、そんな感動を呼ぶものでもありました。
そう、そんな課題に真剣に集中して取り組んだ
結果、私たちが導いた答えは
〈幼児教育とマインドフルネスを組み合わせる〉
というものだったのです。
その頃ちょうど第一子を身ごもっていた優佳さん
はこれから生まれてくる子供が育つ環境に多大な
関心を持ち、ハートがどれだけ大切かを実感して
いました。
彼女はまた留学中に英語指導のトレーニングを受
けていましたし、私も以前、長く子供の英語教育
に関わっていて、
そうした私たちの強みを活かして
〈子供英語+マインドフルネス〉を展開しようと
いうことになったわけです。
2日間のワークショップでは、各社が出した課題
解決のためのイノベーティブな発想を発表するの
ですが、〈瞑想〉についての様々な固定概念が
バリアとなって、
こちらの意図するところがなかなか他の参加者に
伝わらないなと感じることも多々ありました。
そうした伝わりにくいところをしっかりと伝えて
いくこと、これは初年度に当たる今年の目標でも
あります。
幸いマインドフルネスの有益性に関しては、
たくさんの科学的データがあり、海外において
マインドフルネスが教育に取り入れられている
実情も書籍などで紹介されるようになってきて
いるので、うまく伝えることができたらと思いま
す。
次の文章は、エリーン・スネル著
「親と子どものためのマインドフルネス」の
「はじめに」でマサチューセッツ大学医学部名誉
教授のジョン・カバットジン氏がよせたものです
が、分かりやすく丁寧に、なぜマインドフルネス
が大切なのかが語られています。
『マインドフルネスは、私たちに本来そなわって
いる能力のひとつです。
トレーニングを重ねるなかで、こつこつ育て、
深めていくものです。
種を植え、水をやり、しっかり育てるものなの
です。
そうすると、種が根づき、こころという土壌で
育ちます。明るく、役に立つよう、創造的に育
っていきます。
やがて花ひらき、実を結ぶのです。
こうしたことはすべて、「注意を向ける」こと
と「いまここにいる」ことから始まります。
注意と気づきは、「マインドフルネス」
(mindfulness)と呼ばれていますが、
「ハートフルネス」(heartfulness)と呼ぶこと
もできるでしょう。
これを理解することは、とても大切なことです。
といいますのも、私たちが育てようとしている
のは、ただ単に知的な能力だけでなく、
自分や 他者への思いやりを含めた生き方全体
だからです。
多角的な知性、ものごとの認識の仕方、
「いまここにいる」方法を育てようとしている
のです。
これをどう呼ぼうとも、医療や神経科学の研究
では、マインドフルネスが
こころとからだの健康によい結果をもたらす、
なくてはならない重要な「生きるスキル」
であることが示されています。
一生を通じて、こころの能力(EQ)、学習、
健康全般をサポートし、高めることが確認され
ているのです。
近年、ストレスが発育中の子どもの脳に有害な
影響をもたらすことが確認されています。
そのため、マインドフルネスがますます必要と
されているのです。
マインドフルネスのトレーニングは、
学習環境の向上やリラックスするためだけに、
オプションとして付け加えるものではありませ
ん。
マインドフルネスは、
最適な学習と感情のバランスを保つために欠か
せないトレーニングです。
過度のストレスによる悪影響から、発育過程に
ある脳を守ってくれるのです。
子どもは、まさに「いま」の瞬間に生きていま
す。過去や未来にこころを奪われることは、
それほどありません。
自然に「いま」にいるのです。
そこで、私たち大人ができる最も重要なことは、
子供が持っているこの「自由なこころ」と
「いまにいる」という自然な性質を損なわずに、
その性質を強め、育てることです。
マインドフルネスのやり方を学び、生活のあら
ゆる場面で必要に応じて実践することは、
演奏家が楽器のチューニングの仕方を学び、
演奏するようなものです。
オーケストラの演奏家は、まず、時間をかけて
自分の楽器をチューニングし、その後、お互い
に合わせます。
私たちもマインドフルネスという道具をチュー
ニングしてから生活すべきなのに、そうしてい
ません。
なぜ、しないのでしょうか?
なぜ日々調整しないのでしょうか?
これよりも基本的で、重要なことはある
でしょうか?
どうすれば注意をむけられるのか、
どうすれば「いまここ」にいられるのか、
どうすれば自分の思考・感覚・からだを
そのまま受け入れるこころのゆとりが持てる
のか、
ということを学び、実践する以上に、
大事なことはあるでしょうか?
自分と他者への思いやりの向け方を学び、実践
する以上に、重要なことはあるでしょうか?』
2日間のワークショップの後の約半年間ミーティ
ングにミーティングを重ねて、このHIEが誕生し、
5月から実際に稼働し始めました。
現在はHeart Experienceというオープンクラスを
展開しながら、スクールの取り組みを知ってもら
う機会を作っています。
五感を大切にできるように手作りの教材を用意し
たり、小さな子供さんのクラスでは、
お母さんやお父さんとのハートからの繋がり、
寛ぎも意識したプログラムを考えます。
レッスンには必ず、ハートのエクササイズが入っ
ています。
それは自分のハートを感じるものであったり、
ハートの愛の質が流れる手で抱きしめたり、
ハートから見たり聴いたり・・・
年齢に合ったやさしいかたちにして体験できる
ようにしています。
子供の成長を見守っているおとなたちがハートに
寛ぎ信頼を深めることは、子供にとってとても
大きな助けになると思います。
そんな土壌の中で、子供たちが自分のハートを
信頼し、気づきを深めていくこと・・・
そんなサポートが教室の展開の中でできたらいい
なと思っています
まだ始まったばかりですが、オープンクラス、
レギュラークラスに来てくださった方からは
とてもよいフィードバックを頂いています。
安心できる、なにかほっとできる場であるという
声、早急な判断をせずに見守るスペースがあるこ
とへの寛ぎ、親自身もまたあるがままを大切にで
きるという声など、
これから続けていくにつれて、またどのような
反応がうまれるのか、たいせつに見守りながら
育てていきたいと思います。
私たちは、ご要望があれば学校やその他、教育に
携わる方々にも、このHeart in Educationの取り
組みをお届けしたいと思っています。
出張セミナーやワークショップもありますので、
興味のある方はどうぞお問合せください。
ご相談しながらそれぞれの場所や対象に合わせた
プログラムを考えてゆきたいと思います。
ハートの愛に満ちた気づきが、教育に関わる多く
の人に届きますように。
ブーティともこ記
Heart in Education
尾崎智子のホームページ
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