死にゆく人とあなたのニーズは変化します。死を迎える人をサポートするあなたにとって、役立つ情報です。

ここでの提案や情報は、あらゆる状況に使えるものと、そうではなく、特定の時期や状況のためのものもあります。あなたの個人的なニーズや、愛する人のサポートに役立つものを選択してください。いずれにせよ、時の経過すれば、変わっていくでしょう。

このツールが役に立つのは:


「死に向き合うためのツール」には、介護者にも意味のあるものがたくさんあります。リンクは以下です。さらに、愛する人のサポートとなるように、「死に向き合うためのツール」に親しんでおくことも有効です。 「病気と痛み」のセクションも参照してください。


あなたの気遣いを捧げる


コミュニケーション

関わるための基本的なスキル、当人に死が間近だと知らせることについての3つの記事。


ラポール(親密な関係)のスキル


あなたの内なるスペース−−相手の感じていることへの理解−−に関すること。
また、ラポールを築く能力、傾聴のスキル、タッチの使い方などの基本的なスキル。
病人や死が間近な人、昏睡状態の人に寄り添うときのラポールの形成方法など、いくつかの基本的ガイダンス。

「死にゆく人を訪問するためのガイド」を読むことをお勧めします。

重病人や死が近い人を見舞ったり介護することは、親密で優しい時間になるでしょう。それはまた、あなたにとっても死を迎える人にとっても「未解決の問題」を終了させ、お別れする機会にもなるでしょう。

あなたがそこにいることは、死にゆく人にとってだけでなく、家族として、友人として、介護者としてのあなたのためにもなるのです。

けれども、バツの悪さが邪魔をするかもしれません。まず、あなたが訪問することについて、具体的に考えてみると、こんなふうに自問するかもしれません。

何も準備しないで行くわけにはいかないけど、どう準備したらいいんだろう? 
どうふるまったらいい? 
自分の話をするのは適切ではないとは思うけど、病状をたずねるのは危険かもしれない。
相手は、死が近いのを知っているだろうか? 
その点について、どう思っているのだろう? 
その話をしたくてたまらないのかもしれないし、認めたくないかもしれない。
腹を立てたり、悲しんでいるのかもしれない。
相手が感情的になったら、どう対処したらいいのだろう? 
答えられないような質問をしてきたら?

それだけでなく、あなたは相手の外見にショックを受けるかもしれません。自分が健康なのが気まずくて、罪悪感を感じることさえあるかもしれません。

さらには、あなたが気づいているかどうかは別として、死にゆく人を見て、自分の死が怖くなるかもしれません。

そんな状況を考えると、訪問などしないほうがいいという理由がいろいろ見つかるでしょう。そうなれば、あなたたちの友情は終わりを告げ、当然ながら、あなたの友人はがっかりしたり、見捨てられた気がして、淋しさを味わうでしょう。

こんなときこそ、あなたがそばにいること、あなたの愛とサポートがいちばん必要な瞬間なのです。

死にゆく人との時間が気まずいものである必要はありません。相手がどう感じているかを理解し、動揺せずに自分の中心にいられる方法と、人と関わるための基本的スキルが少しばかりあれば、両者にとって、状況はまったく違ったものになるでしょう。


基本的なガイドライン:




たとえば−−



ラポール(信頼関係)の重要性


ラポールとは、相手との調和のあるつながりのことで、自然に起こる場合もありますが、意識的に築くこともできるものです。

心理学用語では、「結合(joining)」とも呼ばれます。もっと砕けた表現を使えば、相手に「同調する」とか、「波長を合わせる」ということです。

訪問する相手、介護する相手をよく知っていれば、たぶんあなたはすでにその人に同調しているでしょう。けれどもその人に痛みがあったり、感情的に苦しんでいれば、あなたはより意識的にラポールを築き直す必要があるかもしれません。昏睡状態にある人とラポールを築くことさえ可能なのです。

「ラポールを築くための基本的なヒント」を参照のこと
「コミュニケーションと傾聴のヒント」を参照のこと


昏睡状態


昏睡状態にあっても、上に述べた多くのことはやはり意味を持っています。その人はまったく意識がないように見えるかもしれません。その人に何を話しているのか、どう接しているのか、相手が気づいているかどうか、確かめようがないかもしれません。

自分がその人の役に立つサポートをしているのか、気づかないうちに相手に苦しみを引き起こしていないかを判断するには、相手の反応を正しく読み取ることがつねに重要です。

けれども昏睡状態にある人の場合、その反応は本当にかすかでしょうから、それをどう解釈するか、感じ取ることが必要になります。

もしかしたら、こちらの言っていることを聞いて、呼吸が変化したり、かすかな動きが起こることがあるかもしれません。


死が間近というより、重病の人と一緒にいる場合、さらに考慮すべきこと

上に述べたほとんどのことは、死が間近な場合というよりは、重病の人に対して当てはまることです。

訪問者あるいは介護者として、相手が普段の世界にいたときとは別の状態だと覚えておくことが役立ちます。

たぶんその人は、病院やホスピスや家で病人扱いを受け、人に依存したり、弱気になったり、やる気をなくしたり、未来がおぼつかなく、不安だと感じていることでしょう。保証や愛や忍耐を必要としていることでしょう。

「イン・ラポール(信頼関係を結ぶ)」ワークショップでは、人と関わるための基本的スキルを学日、練習する機会、沈黙ともにくつろぐ在り方をどう育てるかを理解する機会を提供しています。

ワークショップの概要を読み、ビデオを見てください。


推薦図書


「死についての41の答え」
OSHO
Oshoの650冊以上にわたる全著作から、いかに生き、いかに死ぬかということについてのエッセンスを編集した本。

これまでの死についての既成概念を覆し、「本当の死とは何か」を覚醒を得た自らの体験から語り、「ほんとうの死に方」「本当の生き方」の学びと実践について具体的かつ実用的に語られています。

死後の生、輪廻転生、意識的に死ぬための準備、死の恐怖、痛みへの対処法や瞑想法について解説。
癌や脳腫瘍などで余命を宣告され、老衰で死に直面した人たちの質問にOshoが具体的な対処法や瞑想法を懇切丁寧にわかりやすくアドバイスがなされています。

またその死に直面した人たちをケアする家族や友人の人々からの質問にも答え、別れを告げるときのために、ケアテイカーと遺族のための洞察や具体的な対処法についても語られています。

これまでのOSHOの本の中でもっとも実用的な一冊となっています。

Amazonで購入:「死についての41の答え」
電子書籍
『I Don’t Know What to Say … how to help & support someone who is dying(何を言ったらいいのか...死にゆく人を助け、サポートする方法)』
Dr Robert Buckman

第1部の「話すことと聴くこと」では、「なぜ話すのか?」「なぜ聴くのか?」という質問に答え、繊細な傾聴について説明し、起こっていることをなぜ知る必要があるのか、提案しています。

第2部の「移行」には、「死へ向かう段階」「脅威に直面すること」「病むということ」「最後の段階」のセクションがあります(各セクションには、患者の気持ち、あなたの気持ち、サポートの与え方やあなたにできること、などのガイドが含まれています)。

Amazonで購入:『I Don't Know What to Say』

『What Dying People Want: Practical Wisdom for the End of Life(死にゆく人の望みとは:人生の終わりのための実践的知恵)』
David Kuhl M.D.

死を迎えるというテーマにおいて、死に直面した人々の思いやハートに触れる、独特のアプローチ。
著者は医師であり、カウンセリング心理学と神学の訓練を受け、緩和ケア医としての臨床経験もあり、本書の主題に関する学位論文も書いています。

この本には、命に関わる病気を抱えている人に「その人が何を必要とし、何を望んでいるのかを知るために、気まずくて辛い会話」をどう切り出したらいいのかについてのガイダンスが含まれています。

死にゆく人との在り方について、他の重要な側面についての指針もたくさんあります。タッチ(触れること)に関する章や、治療計画を立てるために、家族会議を開くことに関する章などです。

さらに、とても大切な「人生を見直す」章があります。死を間近にした人が、自分の人生を、そのプロセスを振り返る方法について述べています。

Kuhl博士の言葉を借りるならば、「自分は誰なのかを理解したいという願望とともに、過去を理解し、それまでの在り方の意味と、未来への希望を見出すためのもの」です。強くお勧めします。

Amazonから購入:『What Dying People Want』
『Close to the Bone: Life-Threatening Illness as a Soul Journey(きわどい話:魂の旅としての命を脅かす病気)』
Jean Shinoda Bolen, MD

Bolen博士は、こう述べています。「病気は、患者や患者と関わるすべての人々にとって、魂を揺さぶると同時に、魂を呼び起こしもします。私たちは無邪気さを失い、もろさを知り、もはやこの出来事の前のような人間ではなくなります。けっして同じままではいられません。未知の領域に足を踏み出し、決してもとには戻れないのです」。

彼女は、病気や死に臨む体験を表現するメタファーとして、古代の神話について触れる斬新なアプローチをとっています。それとともに歩んでみれば、本書が、あなたが愛する人がどんな体験する可能性があるのか、どのように寄り添ったらもっとも助けになるのか、大きな理解を与えてくれるでしょう。

Amazonから購入:『Close to the Bone』
『Speaking of Dying: a practical guide to using counselling skills in palliative care(死にゆく人の話:緩和ケアにおけるカウンセリングスキルの実践ガイド)』
Dr. Louis Heyse-Moore

本書の裏表紙の推薦文が述べているように、「思いやりに満ち、機転のきいたコミュニケーションスキルが、死に臨む患者との時間が気まずいものになるか、魅力的で共感に満ちた絆となるかの違いを生み出すことでしょう」。

もし基本的なカウンセリングスキルを学びたければ、これこそあなたのための本です! Heyse-Moore医師のスタイルは、学術的ではなく、実践する人に優しい、わかりやすいスタイルです。強くお勧めします。

Amazonから購入:『Speaking of Dying』
この日本語ウエブサイトは発展中です。未完のテキストが出来上がりしだい随時アップしていきます。